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【雑談】CommonのニューアルバムBlack America Againのはなし

2017.01.25  Wrote by Momoka Ezure

  

こんにちは。えづれです。

突然ですが、わたしはソウルミュージックやR&B、ヒップホップなどの音楽が好きです。好きなので、もっとみんなに知って欲しい。

今回はそんな感じの内容のことを書こうと思います。

ここ数年の流れとして、ヒップホップやソウルなどの音楽もジャンルや国籍を超えて幅広く親しまれるようになってきましたが、ヒットチャートにのぼるような商業的で娯楽性の要素の強い楽曲だけでなく、社会性やメッセージ性の強いものが数多く存在しています。それらの楽曲の背景に存在する問題や、さまざまな主張についてすこしだけ紐解いてみたいと思います。

 

Black America Again

11月にラッパーのCommonが新しいアルバム『Black America Again』をリリースしました。

このアルバムが出るという情報を耳にした時にまず目にとまったのがフィーチャリングしているアーティストです。Esperanza Spalding、Bilal、Robert Glasper、Syd the Kid、John Legendなどなどなど、今をときめく人たちの名がズラリ!これは期待できると思いましたが、注目すべきはここだけではなく、アルバムの鍵となっているテーマの人種問題です。

世界中を大きく震撼させたアメリカ大統領選の少し前に発表されたこのアルバム。「Make America Great Again」という、トランプ大統領の打ち出したスローガンに対する皮肉を込めたであろうこのタイトルのアルバムは、今後も時代の転換期になぞらえて語られていくのではないかと思います。

アルバムのリリースに際し、このようなコメントが発表されていました。

『Black America Again』というタイトルが力強い主張になると思ったし、『Black America Again』とは抗議や公正だけに留まるものではないという対話のきっかけになるんじゃないかと思って。『Black America Again』とは、人間らしさ、我々がどのように自分自身を、愛を、そして自由を感じるかを表現することについて語られているんだ」とコモンは述べ、「我々はブラック・アメリカンのストーリーを書き換えていく」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161017-00000003-notr-musi

 

このように、単に話題性のあるアーティストの共演や社会への問題提起のみならず、聴き手であるわたしたちに対する能動的なアプローチをしかけたいという思いがあるようです。

この内容は数ヶ月前に書いていたものなのですが、現在アメリカでは移民問題に関するでデモが加速し、マイノリティに対する弾圧において大きく世論を動かしていると言えます。こういった状況下において、さらに強くメッセージが響きます。

 

加速するアイデンティティへの問い

日本にいるとこのようなことを意識をする事は少ないですが、数年前にニューヨークに旅行をした際に間近で観たベーシスト、ベン・ウィリアムズがそののちTwitter上で「黒人だというだけで、タクシーがなかなかつかまらない」というようなことをつぶやいていました。

アーティストだからって関係ない。

黒人だというだけで誰もが差別の対象になりうるのだということを知って、当時は非常に驚いたのを覚えています。

その数年後に起きた、様々な事件。「Black Lives Matter」というスローガンが声高に叫ばれ始めた頃から、アーティストたちはさらに具体的に問題にフォーカスする楽曲を多く発表するようになったように感じます。

人種のるつぼと呼ばれているアメリカ社会では、犯罪や貧困などと結びつきながら、今もなお差別や偏見、それに付随する社会問題が後を絶たない状況です。そのことは、トランプ氏が当選したのちに起きたあらゆる事件を見ても明らかでした。
今回の当選によって、これまで’political correctness’のもと、社会的に暗黙の了解として触れられなかった物事に大きくヒビが入り、黒人だけでなく女性やLGBTQ、移民など様々なマイノリティに対する刃がむきだしになったことを感じた人は多いと思います。時代は良い方に変わってきたのだと信じられる変化も起きていた分、ここで人々の中から立ちのぼる「本音」のようなものを目の当たりにしてがっくりと肩を落とした人も多いでしょう。

革命と呼ばれるような動きは昔ほどは大々的に起こることは少なくなったのかもしれません。しかし、人々の動き方や意識の流れは昔と違う方法で加速しているように感じることは多くあります。その中で、暴力に訴えることなく人々に気づきをあたえ、静かにそばにいてくれる音楽という存在は、こういった問題を考えていく上で大きな手助けとなっているはずです。

 

楽曲に込められたメッセージに目を向けること

現代風の音で、クールな旋律にのせられた様々な楽曲のメロディやフロウを楽しむことも醍醐味のひとつですが、もう一歩踏み込んで彼らのことばに耳を傾けてみると、単に娯楽としての音楽ではなく、強いメッセージが乗せられたものであることを意識させられます。

声をあげることのできない人も、アメリカ国民だけでない世界中の人たちも、きっと彼らからの力強い提言や宣言に勇気づけられた人も多いはずです。

音楽という平和的な方法によって、外から貼られたレッテルを内側から破っていこうとする運動から生まれる可能性に期待せずにはいられません。

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