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バックオフィスの生産性を向上!クラウドサービスを使うメリットとデメリット

2019.08.25  Wrote by Takuro Nakayama

  

日本はいつのまにかIT後進国になっている?

日本企業のITツールの導入は他の先進国に比べて遅れていると言われています。

【図1】(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

総務省の平成30年度のデータによると日本企業のIT導入率は他国と比べて10%~25%低い水準でした。これはかなりインパクトのある数字だと思います。

日本がITの後進国になっている理由はいくつかありますが一番大きいのは「ものづくり」に対して多額な投資をする一方、ITにおけるソフトウェアやサービスに対する投資が企業の中で行われて来なかったのが要因だと思います。つまり目に見えるモノには価値を感じやすく、見えないものに対する投資に若干抵抗があるということではないでしょうか。

【図2】(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

ソフトウェアやサービスに対する投資が進んでいないことは、図表2のパソコンやインターネットなど基本的なハードに関しては整備されているものの、eコマース(ネットショップ)、SNSなどの活用は遅れていることからもわかります。

このようにデータとしても日本のIT活用が遅れている側面が出ていますが、実感としてITに頼らなくてもビジネスが回っている、もしくはWebなんてなくても売り上げが上がっているという場合も多いでしょう。

 

インターネットは夜明け前。いよいよ夜明けが来る

「この10年もFAXやメールだけでビジネスは十分やって来れた」

「自分たちのビジネスにはインターネットは関係ない」

「Webから集客しなくてもお客は増えている」

そんなご意見をいただくこともよくあります。

今までは確かにそうだったかもしれませんし、一部のニッチなビジネスではIT導入しなくても生き残れるかもしれません。しかしこの先10年は全く違うと思います。なぜなら、スマートフォンが登場して10年以上、ビジネスを取り巻く状況は激変しました。そして2019年より5Gが始まり、インターネット環境がさらに変化していきます。簡単に言えば今までのインターネットは夜明け前。いよいよインターネットの夜明けが始まると言われるのがこの2020年以降の時代です。

 

データが信用になる時代へ

今までおもちゃのようだったAI(人工知能)はロボット、VR/AR、自動運転/MaaS、IoT、シェアリングエコノミーのあらゆるデータとつながることにより、より高度に発達し進化します。これまで感じなかった変化の渦が5G以降の通信速度の向上により大きなうねりに変わるのです。端末同士の通信のボリュームと速度が上がることによりインターネットのトラフィックが飛躍的に増え、加速度的にデータ量が増えます。全てのものがつながり通信し、そのデータをAIがストックし、解析し、コントロールするようになります。

今後10~20年以内に「日本の労働人口の約49%が、技術的にはAIなどで代替可能になる」/ 野村総合研究所

今後10年であらゆる業界にAIが導入されていき、データ時代になっていきます。全てのものがデータに置き換えられデータにより会社の信用や個人の実績は評価されるようになるでしょう。

 

非デジタル化のデメリット

もし社内のデジタル化を進めない場合どんなデメリットが起き得るでしょうか?

・ITツールが導入されていないため、外部へのデータ共有することがしにくくなる

・社内のデジタル化が進まず、業務の効率化ができない

・社員が疲弊し生産性の高い業務にかけられる時間が生み出せない

・競合に比べ収益構造や人材定着率などの差が生まれる

そもそも社内のデータがデジタル化されていないとすると、これから国が進めている働き方改革などで推進されている業務効率化による生産性向上、労働環境の整備、ワークライフバランスの実現などを現状以上に達成することは難しいかもしれません。その結果、より強まる人材不足や優秀な人材の確保などに対応できにくい会社になってしまう可能性があります。

 

ITツールを導入するメリットとは?

ITツールを導入することには以下のようなメリットがあると考えます。

 

業務の効率化

ツールを導入する際には現状の業務フローを見直す機会でもあります。IT導入により社内でのコミュニケーションや業務プロセスの見直しが進み労働環境の改善が進みます。情報の共有の在り方やデータ管理、経理や事務の効率化が進めば長時間労働が改善され、短時間労働を希望する優秀な人材の獲得や定着につながります。

 

業務の属人化を防ぐ

あるグループしか知らない情報が存在したり、頻繁にアップデートできない紙の手順書などで作業を指示していたり、作業の細かなノウハウを特定の人しか知らないという状況が多くあります。ITツールを導入するとき以下に情報を共有する体制を作るか、そしてそれをテキストだけではなく画像や動画を使って伝えるかというのも大事な要素になります。

なるべく誰がどのような業務をやっていたか後ほど検索したり、記録を簡単に見つけられるようなデータ管理を意識することにより、この人しかできない仕事を減らすことにより、人材の流動性に対応することができます。

 

リモートワークやアウトソーシングしやすくなる

内部情報がデータ管理されセキュリティ対応もしっかりされていれば、あえて社内でやらなくても良い業務フローを作成して、在宅ワークやリモートワークなどにも対応できるようになります。スタッフの家族の状況やスタッフ自身の体調などに合わせて働けるようにすることにより、働きやすい職場環境の整備ができますし、転勤や引越しなどによる離職を減らし、企業も社員も安心して働くことができるかもしれません。

また場合によりアウトソーシングもしやすくなります。業務の一部を特定の分野のプロフェッショナルに対応してもらったり、クラウドソーシングなどで定期的または大量のタスク業務の外注が可能になります。そうすれば社員はより生産性の高い業務にコミットができ、長時間労働の削減につながります。

 

当社事例

クラウドットではクラウドツールを積極的に利用していますがその理由は3つあります。

 

1. 多様な働き方を実現し誰でもどこにいても会社にコミットできる機会を提供するため

ITは特に人材が不足している業界です。またクリエイティブな仕事なので自由な働き方や先端なツールに触れる機会も多くあり、GoolgeやAppleに代表されるように理想的な労働環境で働く人たちが多くいる業界です。そもそも近年の働き方改革の流れはIT業界から生まれているものです。

また優秀な人材ほど多様な働き方を実践しており、グローバルに人材が流動しているため、どこでも働けるようなリモートワークの文化やそのための情報共有の習慣などがなければ、そのような人材を受け入れることができません。多様に働ける環境がないと今後の10年は戦えないのです。

 

2.バックオフィスなどの業務に直接関係ない部分の作業コストを極限まで下げて、生産性を高めるため

現時点で当社でも完全な状態ではなく、試行錯誤を続けている状態です。理想として勤怠や労務管理、経理や契約などのバックオフィス業務を極限まで下げる、またはアウトソースすることにより、当社の社員やパートナーは生産性を高め顧客満足度を追求した業務のみに集中できる状態にしたいと考えています。

 

3.IT企業としていろんなサービスを実際に使うことによりUI/UXの学びの機会とするため

クラウドットがITを軸にサービスを行なっていることを考えると、より広い範囲でITツールがどのように進化しているのか、どんな世界を作ろうとしているのかを理解する必要があると思います。今ユーザーに受け入れられているツールは何か、そこで実現されているテクノロジーの活用、UI/UXにおけるカスタマーサクセス、逆にもっとこうなったらいいのに、こんなデザインだったらもっと使いやすいのに、などの改善ポイントを見つけ自分たちの制作現場にも活かしたりするため、なるべく多くのITツールに触るようにし、一部サービスを導入したりしています。

 

クラウドットで活用しているクラウドツール一覧(バックオフィス系)

当社でバックオフィスをメインに使っているツール一覧の図を公開します。実際のクライアントワークやサービス開発業務ではもっと多くのツールを使っておりますが、バックオフィス業務エリアに絞っていくつか当社の活用事例をご紹介します。

 

コミュニケーションツールを使い分ける

当社では2015年1月頃「Slack」を社内の一部で利用し始め、2017年より社内のメインのコミュニケーションツールにしています。無料版でも十分に使えますが、外部パートナーやアウトソース先とのやりとりも統合するため有料版にてより社内情報の統合が実現しています。他のチャットツールに比べると個人的にも断然使いやすく、オープンな社内共有と多様なサービスとの連携により手放せないツールになっています。

Slackは社内の標準的なコミュニケーションツールですが、クライアントとのチャットツールとして「ChatWork」やサイト運用や開発での記録する必要があるチャットは「Backlog」、エンジニアためのコード管理兼開発ログのためのチャットツールは「GitHub」などを使い分けています。実際にはまだ統合しきれず、クライアントにより「Messanger」「Google Hangouts」など使ったりしており、情報管理は引き続き優先的課題ではあります。

 

勤怠・労務管理の連携

現在当社では勤怠・有給管理を「ジョブカン」を使いSlackから出退勤できるようにしています。給与計算時には「ジョブカン」から「MFクラウド給与」へデータ連携をして給与計算後、「SmartHR」にデータ連携し給与明細を発行します。一連のツールに関しては社労士と共有しており、何か勤怠面で情報共有の必要がある場合はSlackにてやりとりしたり、社労士が直接スタッフとやりとりできるようになっています。

 

会社の電話をクラウド化

当社は1年ほど前から会社の電話番号をオープンにはしておりません。

 1.営業電話を減らすため

2. リモート化を進めチャットやビデオ通話を標準にするため

3. 既存顧客へのサポートを優先させるため

という主な3つの理由によります。

社内のリモート化を進める上で電話対応というのはネックになるひとつです。そこでクライアントとのやりとりをなるべくチャットツールに切り替えていただき、チャットツールの切り替えが難しい既存顧客への対応として電話対応を残しており、結果的に感覚値ですが6割以上の電話対応を減らすことができています。

その中で当社が導入しているのが「Call Connect」(https://www.callconnect.jp/)というブラウザ電話システムです。固定電話から転送をかけて、業務時間帯のみコール音がなるようにしており、その他は自動応答になっています。また音声案内で転送先を振り分けることにより、なるべくダイレクトに担当につなぐようにしています。またもし業務時間外の着信があった場合、Slackに着信履歴が連携するので、業務時間に既存顧客への折り返し対応などもできます。

ただし現在はリソースの問題もありこのような対応をしていますが、将来的にはカスタマーサクセスを強化していきたいと思っていますのでZendeskやIntercomなどのツールの導入を検討しています。

 

ITツールを選ぶときのポイント

実際にITツールはたくさんあり、どんなツールを導入すれば良いのか迷うことも多いでしょう。

 

Bestのツールはない、Betterなツールを使おう!

ITツールを導入する際には「あれもこれもできて今の会社にぴったりなツールを選ぼう」とするかもしれませんが、ある意味それだといつまでもツール導入に足踏み状態になるかもしれません。会社にフィットするベストツールを見つけることは難しいと思います。ですからベターな選択を常にITツールは常に更新されており新しい技術も次々と出てきているので常に組織の形に合わせたツールを見つけてトライしていく姿勢が大事だと思います。

 

安定したサービスを選択しリスク対策をしよう!

ツールを開発している企業はベンチャーのことが多いため、サービスが終了してしまうというリスクがあります。そのためなるべく安定したサービスを利用することもリスク対策になります。またSaaSツールの場合、常に機能やセキュリティがアップデートされて更に使いやすくなったり機能が増えたりします。どんな規模でサービスを行なっておりどんな企業が導入しているのか、また導入事例なども参考にどんな使い方をされているのかリサーチしてみると良いと思います。

 

学習コストを減らそう!

同じ業界で多くのユーザーが使っているツールであれば転職者を受け入れる際に学習コストが低くなる可能性があります。社内の独自の業務フローを見直すことができるのであれば、既にある業務システムとSaaSツールをAPI連携などさせて、より社内の業務効率化を計ったりすることができるかもしれません。

 

社内・バックオフィス向けおすすめクラウドツール

当社で活用しているバックオフィス用のツールは以下のような形になっています。実際にはもっと多くのツールを使ってはいますが、基本的なフローで社内で推奨・利用しているツールになります。

これは現時点でベターな選択であり、今後も同じではないと思いますし良いツールがあったらすぐ試してみたいと思っています。

その中でこれからクラウドツールを導入していきたいという企業向けに、導入検討すべきアプリケーションをご紹介します。

 

最強チャットツール「Slack」

https://slack.com/intl/ja-jp/

何と言ってもSlackです。IT業界ではこのツールなしでは仕事ができないという経営者もいるほどです。1,500以上のアプリと連携が可能で、利用者数は1,000万人、導入企業は60万社を越えると言われます。(2019年5月時点)2015-2016年あたりから急激にユーザー数を増やし,2018年にはソフトバンクの孫さん率いるビジョンファンドより資金調達をし、2019年6月NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場しました。

日本においても「ChatWork」などのツールがあったものの、ユーザー数を伸ばしており非ITの業界でも導入が進んでいると言われます。無料でも十分使えるので、当社でもコミュニティや社外パートナーとのやりとり、一部クライアントで利用しています。

 

労務管理クラウドツール「SmartHR」

https://smarthr.jp/

従業員に関する情報を統合管理できるツールです。電子申告などを使えば、社員の各種労務手続きや入社退社手続きがこれだけで完結可能です。年末調整や給与明細の配布なども一括で行うことができます。クラウドツールなので管理を社労士などに任せることができます。

継続率は驚異の99.5%。導入企業数は2.6万社という驚異の数字が物語るように一旦使い出すと便利で手放せません。2019年8月時点で累計調達額は約82億円と上場が見えているフェーズですので、今後もより便利な機能が追加されていくものと思われます。

 

クラウド契約のパイオニア「Cloudsign」

https://cloudsign.jp

面倒な契約書の作成や郵送のやりとりをオンラインで完結できるツールです。日本初の契約書をオンラインで完結できるサービスとして2015年10月にリリースし、現在は5万社が利用しており、市場シェアは80%を超えています。このサービスが出た時には本当に感動しました。契約書という形式ばって煩雑な手がかかる事務作業こそITで簡略化すべき業務エリアだからです。

「Cloudsign」を提供する「弁護士ドットコム」は2018年に上場をしており、今後も「Cloudsign」への投資を加速させるということですので、より使いやすく便利になることを期待します。この業界は新規参入企業が増えていくエリアなので先行者優位がどこまで続くかは注視が必要です。

 

社内のIT化には必須の王道ツール「G Suite」

https://gsuite.google.co.jp/intl/ja/

G SuiteはGmail、ドキュメント、ドライブ、カレンダーなどのGoogleのツールがパッケージになったビジネス向けのパッケージサービスです。いろんなサービスがGoogleのサービスと連携しているため、Googleを使わずに業務を効率化させることは難しいと言っても過言ではないと思います。ツールも常に改善されていますし、サービスが安定しています。

これ一つのサービスで全て完結することも可能なほど多くの機能を提供しており、最近ではあらゆるツールにAIが導入されており、便利さが群を抜いていいます。G Suiteは全世界で5,000万ユーザー以上、導入企業は500万社以上ということですので、企業にとっては最初に導入を検討すべきクラウドツールということになります。

 

URLだけでつながるビデオチャットツール「appear.in」

https://appear.in

ノルウェイの電話会社 Telenor によって開発された「appear.in」(Wherebyというサービス名に変わる模様)の特徴はchrome/safari/firefoxなどのブラウザであれば、共有されたURLを1クリックするだけでビデオ通話を始められることです。1クリックでつながるのでストレスがありません。「Skype」を始め「Zoom」など数あるビデオチャットツールの中でも断然UX体験が素晴らしい!SkypeでもZoomでもインストールやアカウント作成など事前準備が必要です。相手方がどんなツールを使っているかわからない場合、どんなツールが適切か悩みます。1クリックでつながる「appear.in」はリモートワークのチームで開発が行われており、リモートワークにおける課題をビジネスで解決しているところも、このような使いやすさに繋がっていると思います。

若干つながりが悪いことがありますが、その時はつながりやすいツールに切り替えて使うと良いでしょう。

 

まとめ

クラウドツールは日々アップデートされており、使いやすさや機能も定期的に変化します。新しいサービスが出てあっという間に業界が変わっていくということもありますので、常にアンテナを巡らせて、自社にとって最適なツールを模索することが大事だと多います。

多くの中小企業がITを導入してより働きやすい職場が増えると、企業も地域もより生産性の高い仕事を生み出すことができるので、このような情報発信が地域の豊かさに少しでもつながれば良いと思いました。

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