
【2025年8月】Youtube、ファンがクリエイターの注目を集めることに貢献できる機能、Hypeをリリース/「アメリカ・バイ・デザイン」/AIによって革新される、社内ソフトウェア開発の変化 etc…
テクノロジーやマーケティング、トレンド、カルチャーなどのニュースをMonthlyで紹介する本シリーズ。2025年8月に社内で話題になったTOPICをダイジェストします。Weeklyで更新を予定していきます。
- Youtube、ファンがクリエイターの注目を集めることに貢献できる機能、Hypeをリリース
- Netflixの映画「K-POPデーモンハンター」が興行収入推定1800万ドルで初登場首位
- 私たちは誰かを置き去りにしているのではないか」という視点を持つことが重要
- あらゆる状況に有効な 「銀の弾丸は存在しない」
- 「アメリカ・バイ・デザイン」、大統領を受けて政府関連のUXをアップデートする国家的な取り組みが始まる
- 企業の生成AI投資の95%が財務的リターンはないと回答
- アメリカではトップ10%の所得の人口が国全体の約半分の消費額を占める
- AIによって革新される、社内ソフトウェア開発の変化
- Stripe、新しいL1ブロックチェーン「Tempo」を開発中
- Crocsの新店舗コンセプト「Icon」とは
- KATE、USJに期間限定のアトラクション『18番地の魔女 ~感情と戯れる魔女の館~』が登場
- AI概要がGoogle検索のユーザー行動に与える影響
- 「Vibe analysis」により年間100億時間規模の分析業務がAIで置き換わる可能性
- OpenAI、ChatGPT内でのチェックアウトシステムを開発中
- Google DeepMind、リアルタイムで3D世界を生成できるAIモデル「Genie 3」をリリース
- Open AI、高性能モデルのオープンウェイトを公開
- NVIDIA、小規模言語モデル(SLM)がエージェントAIシステムの未来であるという論文を発表
- AI研究開発のフェーズは「前半戦」から「後半戦」へシフト
- AI時代のデザイナーに必要?「曖昧さへの耐性」
- BBCがAI 2027のシナリオを生成AIでシュミレートした動画を公開
- Anthropic、エンタープライズAI市場においてOpenAIを上回り32%のシェアを獲得
- Anthropic共同創業者 Jared Kaplanがスケーリング則について語る
- Meta CEO Mark Zuckerberg、スーパーインテリジェンスについて長文を投稿
Youtube、ファンがクリエイターの注目を集めることに貢献できる機能、Hypeをリリース

YouTubeは、小規模クリエイターが注目を集められるよう、ファンが支援できる「Hype」機能を導入しました。
- 視聴者はチャンネル登録者数50万人未満のクリエイターの動画を、週に最大3本まで宣伝できる
- 米国、英国、日本、韓国、インドネシア、インドを含む39か国で利用可能
- チャンネル登録者数が少ないほどボーナスが大きくなる
ファンがクリエイターの成長を支援できるHypeは、ユーザーが自分たちのアクションでクリエイターエコノミーに貢献できる仕組みです。
「切り抜き」はYouTubeの機能を工夫して活用することにより著作権者とクリエイターの利害が一致して、お互いにWin-winになれる仕組みですが、YouTubeのクリエイターエコノミーが拡張できるような余白のある仕組みは秀逸だな、といつも思わされます。
Netflixの映画「K-POPデーモンハンター」が興行収入推定1800万ドルで初登場首位
Netflixのアニメ映画『KPop Demon Hunters』が興行収入推定1800万ドルで初登場首位を獲得しました。
- Netflix内で史上最も視聴されたオリジナルアニメ映画、2番目に多く視聴された映画となった
- 映画のオリジナル曲3曲がビルボードのホット100チャートのトップ10にランクイン
作品はカテゴリーとしては子ども向けだけど子ども扱いしていない、大人な内容です。バーチャルアイドルがリアルなチャートにランクインすることにより、新しい形のIPを生み出しています。
制作はソニー・ピクチャーズ・アニメーションが手掛けています。
ディズニーのマーベルやピクサーなどが伸び悩む中、ソニーが着実にハードからコンテンツ強化戦略へのシフトが実現しつつある事例です。
私たちは誰かを置き去りにしているのではないか」という視点を持つことが重要

「多元性」から考える、協働と共創のデザイン──オードリー・タン × 太田直樹
リサーチャーの太田直樹氏と台湾の元デジタル大臣オードリー・タン氏との対談した内容がとても面白かったです。
- インターネットが生まれたことで、アイデアを持つ個人が組織よりもうまくステークホルダーとつながることが可能になった
- オンラインゲームに親しんできた世代は、遠く離れた人々と当たり前のようにコラボレーションをしている
- 見知らぬ人々と価値観を共有し、協力することが当たり前になったという規範の変化は重要な点
特に印象的だったのが、
「私たちは誰かを置き去りにしているのではないか」という視点を持つことが重要
という言葉です。あらゆる価値観や多様性への理解が求められる中で、現実的にそれを完全にはできないということを受け止めることも大切です。
またもう一つ感じたことで、テクノロジーの重要な側面として革新するのは技術だけではなく、それにより人々の習慣や価値観が変わるということです。
ネイティブに見知らぬ人と価値観を共有できる世代と、時代の中で受け止めている世代では、感覚が違うのは当然であり、「今どきの若い人は…」というようにその変化を否定しても意味がない、と感じました。それは既に変化しており不可逆なことと受け止めること、これも大事なことだと感じました。
あらゆる状況に有効な 「銀の弾丸は存在しない」

同じ5行のコードが全く違って見える12の瞬間、なぜ私たちは学ぶのか?
ココナラのエンジニアのKさんが、5行のコードから、12の視点からそのコードが適正か検証します。しかし実際に全て完璧にするのはいろんな制約があり、難しいものです。あらゆる状況に有効な 「銀の弾丸は存在しない」 というわけです。
時間とのトレードオフを理解して、「制約の中で最適なバランスを見つける」 というのがエンジニアリングである
とKさんは述べていて、それは多くの業務や職種にも通じる話だなと思いました。
「アメリカ・バイ・デザイン」、大統領を受けて政府関連のUXをアップデートする国家的な取り組みが始まる

「America by Design」National Design Studio
Scoop: Trump’s new “Apple Store”
2025年8月21日、大統領令 「Improving Our Nation Through Better Design(より良いデザインで国家を改善する)」 が署名され、これにより、政府サービスを「わかりやすく、美しく、使いやすい」ものへと変革する取り組みが始まりました。
- アメリカは世界最大のブランド
- 今こそアップグレードし、国のデジタルの欠陥を修正するとき
- 今の政府をApple Storeのような、優れたUXと最新のソフトウェアにアップデートする。
- ホテル経営者のように、おもてなしのデザインをする
- ホワイトハウス内に国立デザインスタジオ(NDS)を設立し、Airbnbの共同創業者、ジョー・ゲビア氏が最高デザイン責任者(CDO)に就任
行政サービスをより多くの人が公平に受けられるようにするには、情報周りの整備がとても大事だなと日頃から感じているので、アメリカのこのような取り組みは参考にしたらいいのにと思いました。
企業の生成AI投資の95%が財務的リターンはないと回答

MIT report: 95% of generative AI pilots at companies are failing
「The GenAI Divide: State of AI in Business 2025」
MITのNANDAイニシアチブによる調査「The GenAI Divide: State of AI in Business 2025」によれば、企業が実施したジェネレーティブAIパイロットのうち、わずか5%しか急速な収益成長を遂げておらず、95%は期待に届いていないことが明らかになりました。
- MITが2025年上半期に調査。300件の公開AI導入事例分析、経営層150名インタビュー、従業員350名調査を統合。
- 自社開発のAIツールが本番運用に到達する割合は約5%
- 失敗する主因は学習・適応の不足。組織プロセスや文化、データの持続的活用に合わせてAIを育てる体制が欠落。
- どこに投資すべきか(ROIが出やすい領域)
- 費用対効果が高いのはバックオフィス自動化やリスク管理、BPO削減などの領域
インターネット黎明期も大量の投資の中でリターンを得られなかった企業が多かったですが、インターネットが革命的だったのは間違いありません。そこでインターネットに対応できた企業がビッグジャイアントになっていますし、業界のトップランナーになっていることからAIでも同じ経過を辿りそうです。
アメリカではトップ10%の所得の人口が国全体の約半分の消費額を占める

The U.S. Economy Depends More Than Ever on Rich People
アメリカの消費全体において、年収25万ドル以上の上位10%の世帯が、現在は約50%を占めており、これは1989年以降で過去最高の比率です。30年前は約36%だった格差が広がっている現実が見えます。
- 上位10%の世帯は、インフレ率を上回るペースで消費を拡大しいる
- これまで堅調だった所得や資産の効果(株式、不動産などの資産価値の上昇)により、富裕層の消費は安定
- パンデミック以降、実質賃金は年平均で1.0〜1.8%の伸びを続けている
現状、米国経済を支えているのは主に裕福層の消費であり、彼らの支出の維持が経済の安定と成長を促進する大きな要因となっています。一方で、株価や政策変化など外部ショックが発生した際には、消費全体が脆弱になるリスクもはらんでおり、どれだけ強いアメリカを維持できるのか注視が必要です。
AIによって革新される、社内ソフトウェア開発の変化

One Prompt, Zero Engineers: Your New Internal Dev
従来、製品マネージャーやオペレーション担当、デザイナーといった非エンジニア職が内部ツールを構築するのは困難でしたが、AIにより状況が変化しています。現在では自然言語プロンプトで、内部アプリの試作・プロトタイプ開発が可能となり、アイデアから実行までの間のギャップが縮小しています。
- ローコード/ノーコードツールは技術系ではないユーザーにとっては複雑であり、エンジニアへのハンドオフが必要になることが多い
- プロトタイプ作成には適しているが、複雑な状況では性能が低下する
現在はまだ内部ソフトウェアチームを完全に置き換える段階ではありませんが、AIツールは開発の定義や範囲、テスト、共有において、組織の所有責任をリシェイプしつつあります。これらが、より深い統合、強化されたガバナンス、スムーズなコラボレーションを実現すれば、「プロトタイピング以上」の実用システム構築へと成長する可能性が高まります。
Stripe、新しいL1ブロックチェーン「Tempo」を開発中

Exclusive: Fintech giant Stripe building ‘Tempo’ blockchain with crypto VC Paradigm
StripeはParadigmとの協力のもと、Layer-1ブロックチェーン「Tempo」を開発しているようです。
- 約5名の小規模チームがParadigmとの協業体制でステルスで開発進行
- 2024年10月にステーブルコイン基盤企業Bridgeを11億ドルで買収し、2025年6月には暗号資産ウォレット開発企業Privyを買収。ステーブルコインの発行から保管までの基盤を整え、Stripeは自社決済エコシステムを完全統合することで、ブロックチェーン決済の主導権獲得を狙う
アメリカで2025年7月に成立したGENIUS Actによりステーブルコイン規制の枠組みが明確化され、ブロックチェーン技術のメインストリームは決済だと考えるとStripeの強さが際立ちます。
Crocsの新店舗コンセプト「Icon」とは

クロックス の新戦略「アイコン」とは? パーソナライズと地域性の融合がもたらす新たな店舗体験
Crocsは、パーソナライズ性・地域文化・豊富な商品ラインナップを軸とした新しい店舗体験を提案する新しいブランド「Icon」をニューヨーク・ソーホー地区にオープンしました。
- 通常店舗の2〜3倍の広さで、シューズ、バッグ、キーチェーンなど幅広いカテゴリを展開
- 地域の建築モチーフを取り入れた演出で、ローカル感を強調
- 「Jibbitz」バーでは顧客は購入した製品をカスタマイズできる
- Jibbitzは約8%のクロックス総収益を占めていて、パーソナライズ商品の売上が予想を上回り好調
CrocsのIconは、従来の画一的な店舗運営から脱却し、地域性とパーソナライゼーションを軸とした体験型リテールの新たなモデルです。
Crocsのブランドに合った展開で、店舗では単に商品を買うだけではなく、パーソナライズされた対応により、体験やコミュニティの安心感などが感じられる場所になっていくと思いました。
KATE、USJに期間限定のアトラクション『18番地の魔女 ~感情と戯れる魔女の館~』が登場
なぜ「USJコラボ」が日本メイク市場トップブランドの世界戦略なのか
KATEのブランド戦略についてまとめられた記事が面白かったです。
- メイクは、90年代後半は女優やタレントのメイクをそのまま真似する「カタログメイク」が中心だった
- メイクを自己表現の手段として活用したコギャルたちにより「ドラッグストアでコスメを買う」という文化が生まれた
- しかしSNSが浸透し、画像加工技術も進歩したことで、劣等感や「正解/不正解」のジャッジ、自己表現や変化への恐怖が広がっている
- 「既成概念の檻」から女性を解放しよう。がKATEの新たなブランド・ステートメント
KATEのようなブランドが、体験できるアトラクションにより、リアルな接点から自分たちの伝えたい世界観を伝える取り組みは、先進的でありそして未来型のブランド体験の一例だと思います。
AI概要がGoogle検索のユーザー行動に与える影響

Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results
Google検索においてAI要約が登場してから、ウェブサイトへのトラフィックが激減していると言われていますが、実際のデータにおいてもそのような結果がでています。
- AI要約を目にしたユーザーは、全訪問の8%で従来の検索結果リンクをクリックする
- AI要約を目にしなかったユーザーは、検索結果をクリックする頻度が15%。
- Google AI要約と通常の検索結果の両方で最も頻繁に引用されている情報源は、Wikipedia、YouTube、Reddit
- 検索語句が長いほど、AIによる要約が表示される可能性が高くなる
Web集客をする際に、ただコンテンツを作成するだけでは、ユーザーはサイトを訪れてくれません。よりコンテンツをどのように配信していくか、いろんなチャネルにいるユーザーとタッチポイントを作っていくかがより重要になっています。
「Vibe analysis」により年間100億時間規模の分析業務がAIで置き換わる可能性

「Vibe Analysis」と呼ばれるAIによる新しいデータ分析手法が、働き方を変えるのではないかという記事を紹介します。
- NAOやGalaxy、Modeなどが分析のためのCursorのように高度なユーザーがアクセスでき、SnowflakeやLookerなどの自然言語により分析してくれるが機能が限られている
- 両方を実現するツールには強いインセンティブがある
- 5年以内に分析は大きく変化する
バイブコーディングがシステム開発を大きく変革するように、バイブ分析により経営と現場がよりシームレスになり、社員一人一人が経営者のように直接データからアクションを決定するような未来になりそうです。
OpenAI、ChatGPT内でのチェックアウトシステムを開発中

‘It fundamentally changes what it means to be an e-commerce brand’: What a ChatGPT checkout system could mean for retail
OpenAIはChatGPT内に直接購入できるチェックアウト機能を開発中で、現在Shopifyと提携してブランド向けにプロトタイプを提示しているようです。
- ブランドに対し、ユーザーがChatGPT内でチェックアウト機能のプロトタイプを見せている
- ChatGPTはリサーチツールから収益源になる可能性
- ChatGPTの商品レコメンデーションは、ユーザーの質問、個人の好み、質問履歴に基づいてカスタマイズされる
- 生理用品を販売するViv For Your Vは、ChatGPTとGoogle Geminiが製品を提案することによりウェブサイトへの訪問者数が400 %増加した
- 購入の決定は、ChatGPTが製品をどのように説明し、理解しているかという点が重要なので、ChatGPTが適切な推奨を行っているかを確認する努力が必要になってくる
AI検索において、AIに対して最新で正しい情報を好意的に伝えてもらうことがより重要になりそうです。
Google DeepMind、リアルタイムで3D世界を生成できるAIモデル「Genie 3」をリリース
Google’s new AI model creates video game worlds in real time
Google DeepMind が開発した最新の AI「世界モデル」である Genie 3 は、テキストプロンプトをもとに リアルタイムでインタラクティブな 3D 環境を生成します。これにより、ユーザーや AI エージェントがその世界内を探索し、操作できるようになりました。
主な技術的進歩
- 持続時間の延長:前モデル(Genie 2)は約10〜20秒の連続インタラクションが限界でしたが、Genie 3 は数分間の操作が可能です。The Verge
- 視覚的記憶の保持:ユーザーが視界外にしたオブジェクト(例:落書きされた壁など)の情報を約1分間にわたり保持します。The VergeAndroid Central
- 画質・フレームレート:720p 解像度、24 fps に対応し、スムーズで鮮明な映像が得られます。The VergeThe Times of India
- ダイナミックな操作性:「promptable world events」として、天候の変更やキャラクターの追加など、テキスト指示による環境変化が可能です。The VergeThe Times of India
現在、Genie 3 は限定的な研究プレビューとして、学術関係者やクリエイター向けに一部公開されています。メタバース空間により多くのプレイヤーやクリエイターの参加を可能にする技術だなと思いました。
Open AI、高性能モデルのオープンウェイトを公開

Open AIは低コストで強力な実世界パフォーマンスを実現する2つの最先端のオープンウェイト言語モデルの gpt-oss-120b と gpt-oss-20b をリリースしました。
- 一般的なコンシューマー向けGPU(80GB)1枚で動作し、「o4-mini」に匹敵する推論能力を持つという
- 「思考の連鎖(Chain-of-Thought)」の公開で開発者はその思考プロセスをデバッグし、出力の信頼性を高めることができる
中国のDeepSeek、Alibaba、Moonshotなどのオープンソース分野で存在感を増している中で、Open AIのクローズドソース戦略から、コミュニティ全体でAIの安全性を高めていくというオープンな姿勢への転換になるかもしれません。
NVIDIA、小規模言語モデル(SLM)がエージェントAIシステムの未来であるという論文を発表
Small Language Models are the Future of Agentic AI
NVIDIA研究チームが小規模言語モデル(SLM)がエージェントAIシステムの未来であるという論文を発表しました。
SLMとは、2025年時点で100億パラメータ未満のことです。
- 現時点でもエージェントシステムにおいてSLMは十分な能力を持っている
- 10-30倍安価で運用効率も高く、ファインチューニングも容易
- LLMの広範な機能の一部のみ使用しており、複数の専門モデルを訓練・展開することが実用的
複数モデルと複数エージェントを組み合わせることがシステム要件として理想的です。
AI研究開発のフェーズは「前半戦」から「後半戦」へシフト
少し前に話題になった記事ですが、OpenAI研究者のShunyu Yao氏が執筆した「The Second Half」の記事をご紹介します。AIの進化を「前半」と「後半」に分けて捉え、現在が後半戦の幕開けであると論じています。
- 「前半戦」は問題を解くための「手法」が重要だったが、実世界で役立つ問題を「定義する」ことへとシフトする
- 事前学習(言語の事前学習)と環境学習(言語推論を行動として追加)が整えば、強化学習アルゴリズムは容易に汎用化できた
- それまで専門家はアルゴリズムばかりを重視し、事前学習には全く注意を払っていなかった
- AIの「後半戦」は進歩を正しく測るための「評価(Evaluation)」そのものを設計し直すことが重要
- AIは試験やゲームで人間を超えたが、現実世界の経済(GDPなど)にはまだ大きな影響を与えていない
- 現在の評価方法が、人間との対話や連続したタスク処理といった現実世界の状況を反映していないから
- 現実世界で価値を生む新しい評価基準やタスクを定義が必要
「前を向いて点と点を結ぶことはできない。後ろを向いて点と点を結ぶことしかできない」(スティーブ・ジョブズ)
AIに対しては過剰な期待が膨らんでおり、まだ現実世界において大きな影響を与えているわけではない状況です。技術開発だけではなく、何を評価するかがAIを正しく活用するために重要な仕事になりそうです。
AI時代のデザイナーに必要?「曖昧さへの耐性」

世界最先端AI企業 OpenAIのデザイナーに求められる「曖昧さへの耐性」
GoodPatchの社長の土屋さんの、OpenAIのデザイナーに求められる「曖昧さへの耐性」という要素に対しての考察記事が面白かったのでシェアします。
- 「曖昧さへの耐性」(Ambiguity Tolerance)というメタスキルはOpenAIなどのスタートアップでデザイナーに求められる
- 「曖昧さへの耐性」は「ネガティブ・ケイパビリティ」は異なる。「曖昧さへの耐性」は実務で不確実性を突破する「ドライバー」であり、まだ正解が決まっていない曖昧な問題に自ら取り組み、それを明確なビジョンへと形作る能力
- OpenAIのような組織では「決まっていないことに耐える」だけでなく、「決めて動かす人になる」ことが求められる
白黒つけずに曖昧なものを曖昧なままにしておきながら、とりあえずやってみるという姿勢にメリットが多い時代だと感じました。
BBCがAI 2027のシナリオを生成AIでシュミレートした動画を公開
BBCがAI 2027のシナリオを生成AIでシュミレートした動画を公開しました。
- 「AI 2027」は、Daniel Kokotajlo氏ら元OpenAI研究者を中心とするチームが2025年4月に公開した未来予測シナリオ
- 2025年〜2027年の進化ロードマップを月単位で示し、2つのエンディングを描いている
- 2027年10月以降で「減速(Slowdown)」と「競争(Race)」の二つのエンディングが提示されており、ユーザーが選ぶことができる
誰でもAIを使う時代になったからこそ、一人一人がそれを使う結果にも目を向けていく必要があります。企業のせいだけにせず、その便利さの恩恵の先で、どんな未来の可能性があるかをしっかり理解することが大事になると思います。
Anthropic、エンタープライズAI市場においてOpenAIを上回り32%のシェアを獲得

2025 Mid-Year LLM Market Update: Foundation Model Landscape + Economics
AnthropicはエンタープライズAI市場において32%のシェアを獲得し、OpenAIを上回りトッププレーヤーとなっているというリサーチデータが公開されていました。
- 直近6 か月、モデル API の支出は 2 倍以上に増加し、 35 億ドルから84 億ドルになった
- OpenAIのシェアは2023年末までにエンタープライズ利用において50%を占めていたが、現在、25%と半減
- AnthropicはエンタープライズAI市場において32%、Google20%、MetaのLlamaは9 %、DeepSeekは1%のシェア
- モデルの価格が10分の1に下がっても、ビルダーは古いモデルでコスト削減を図るのではなく、最もパフォーマンスの高いモデルに移行する傾向
- コンピューティングへの支出は、モデルの構築とトレーニングから推論へと着実に移行しており、開発者の74%がワークロードの大部分が推論であり、コンピューティングの49%が、が推論に使用
2025年2月のSonnet3.7リリースが火付け役になり、2025年5月のClaude Sonnet 4、Opus 4、そしてClaude CodeがAnthropicのリードを確固たるものにしました。
Anthropic共同創業者 Jared Kaplanがスケーリング則について語る
Anthropicの共同創業者のJared Kaplan氏が、YCのカンファレンスで「スケーリング則(Scaling Laws)」について語っている動画が公開され、興味深かったのでご紹介します。
- AIモデルが実行できるタスクの長さが、およそ7ヶ月ごとに倍増している
- AIの知能の向上は予測可能で、今後、数日、数週間、数ヶ月、数年かかるようなタスクもこなせるようになる可能性がある
- 人間レベルのAIを実現するには、以下のステップが必要
- 文脈を与える。
- 長期的なタスクの進捗を追い、関連情報を利用する記憶
- 曖昧なタスク(例:良いジョーク、良い詩、研究のセンス)を評価し、改善する人間による監督
- AIができることの境界線で実験をするべき、常にその境界線は動いているから
- AIをAI統合のために活用することは非常に価値ある
- スケーリング則が破綻して見える場合、それは法則自体の限界ではなく、トレーニング方法の誤りなど、人間側の問題であることがほとんど
現状のAIエージェントは精度などがイマイチだな、と感じるかもしれませんが、重要なのはこれまでも数ヶ月単位で圧倒的な進化をしていることです。AIのスケーリング則から1-2年における進化を予測した上で、AIエージェント開発やPoC(技術検証)をする必要があると思いました。
Meta CEO Mark Zuckerberg、スーパーインテリジェンスについて長文を投稿
Meta CEOのMark Zuckerbergがスーパーインテリジェンスについて長文を投稿しています。
- ここ数ヶ月、AIシステムが自己進化を遂げつつある兆候が垣間見える
- 200年前まで人口の90%が農業に従事していたが、技術の進歩により生存以外のことに集中できるようになった
- 超知能が個人のエンパワーメントすることによって、人々が世界をより良くしていくための、より大きな主体性を持つ時代
- 安全性の懸念を引き起こす可能性はあるので、オープンソース化については慎重な判断が必要
- 今後10年間が超知能の進路を決定する決定的な期間
AI人材の人件費に年間で約500億円〜1,100億円を投じており、Scale AI投資などを含めると人材獲得のための総投資は数千億円規模に達しているMeta。AIにおいて出遅れていた感があったMetaですが、ここ数ヶ月加熱する人材獲得合戦で一定の成果を作りつつあるMark Zuckerberg。まさにFounder mode。
直接リーチできる月間アクティブユーザーが40億人というユーザー層を持つMetaが、個人をエンパワーするAIの実現できる可能性は十分あると感じました。
※本記事では一部でClaude、ChatGPT、Midjourney、DALL-E3などの生成AIを活用して作成しています。