2026年、人間の多元性を表現できる世界へ

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2026年が明けて、早々にアメリカによるベネズエラ現大統領を拘束し、新政権移行までベネズエラを「運営する」とトランプ氏が表明するなど、今年も良くも悪くもダイナミックな年になりそうです。

そして2026年は、今後の人類史を彩るであろう大きなテクノロジーの社会実装が見込まれています。そのいくつかをピックアップしながら、現在地との距離感と社会変化を予想してみたいと思います

2026年のテクノロジーによる主な3つの変化

1.ヒューマノイド型ロボットの市場投入の加速

特に「ヒューマノイド」型のロボットが量産され、日常に投入されることが2026年の顕著な特徴になるとみられています。

主要企業の動向

  • 1X、最大1万台のヒューマノイドを展開
  • Tesla Optimus、2026年に最大100,000台まで生産能力を拡大
  • BYD、2026年に20,000台
  • Figure AI、2025年から4年間で10万体のヒューマノイドを生産する計画
  • Unitree、年間数万台生産のレンジに入っている可能性

今までのAIは、テキスト情報、画像、動画などのデジタルデータを通して知能を獲得してきましたが、すでにデジタルデータをほぼ吸収し尽くした状態です。そして自ら学習データを生成して学習する段階に入っており、これにより効果的な学習が可能になっています。

一方で、リアル世界のデータ量は桁違いに膨大です。予測不能なノイズだらけの現実世界の情報量は、インターネットの静的情報とは比較になりません。この膨大なデータから学習するためのコストや制約、安全性の担保、そして処理速度の問題など、超えなければならない課題がいくつもあります。

そのためロボティクス自体が幻滅期に入ると考えるアナリストも多いようです。しかし身体性を通した学習(embodied AI)として、自律的に学習していく過程の中で自己解決していくという経験は、次のAI進化の鍵になることは間違いないでしょう。

2026 年、ロボティクスは独自の GPT-3 モーメントを経験するだろう

“In 2026, we’ll see robotics experience its own GPT-3 moment.”
Khosla Ventures / Ethan Choi

Khosla Ventures Partner Sees Robotics Have A ‘GPT-3 Moment’ In 2026; Warns Of Anti-AI Protests From White-Collar Employees

2. 自動運転の実用化と普及の初期段階が始まる

2026年は、自動運転がより実用化が見込まれています。特に「ロボタクシー(配車型自動運転)」が大きく進む年になります。

  • Uber + Momenta がドイツ・ミュンヘンで Level 4 ロボタクシー実証運行を開始予定。
  • Uberは10カ国以上でサービス拡大を目指す計画を公表。
  • Waymo は米国内で自動運転タクシーの運行実績を伸ばしつつ、2026年中にサービス都市数や走行台数を大幅に増やす計画。
  • ロンドンなど欧州主要都市でもロボタクシーの試験・導入計画が進行中。

自動運転がより社会実装されるには、法制度・保険・社会受容が鍵となります。イギリスでは自動運転法(Automated Vehicles Act)の施行により、2026年までに公道での自動運転車走行が合法化される流れがあります。

日本においても、2026年6月ごろまでにより高度な自動運転基準の策定が進められており、レベル4の実証実験が複数地域で進んでいく予定です。2025年からWaymoやWayveなどが試走を開始し、国内スタートアップのTIER IV(ティアフォー)もオープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発するなど、カメラを使った自動運転がより普及しやすい環境が整いつつあります。

自動運転は私たちの生活を大きく変えるものであり、消費者の行動、時間の使い方、価値の優先度を入れ替え、ビジネス環境を根本から変えることは間違いないでしょう。

3. AIエージェントがより産業基盤にロックインされる

AIエージェントがより現実社会で実装されていくと思われます。2025年は特にコーディング領域における進化が凄まじかったですが、同様の変化がより狭い産業領域で増えていくと考えられます。

2025年12月にa16z(Andreessen Horowitz)が発表した「Big Ideas 2026」シリーズでは、今後実現しそうな興味深いアイデアが挙げられていました。

  • 「エージェントネイティブ」なインフラへの再構築が進む
  • 動画は受動的に見るものから、AIによって生成され、その中に入り込む「生きた環境」へと進化
  • ウェブやアプリのUIは人間が見るためのものから、AIエージェントが読み取りやすい機械可読性を重視した設計へとシフト
  • AIとソフトウェアを前提とした新しい産業基盤が構築される
  • 「プロンプト不要」のアプリが主流になる
  • ChatGPTが新たな消費者向け製品の主要な流通チャネルになる可能性
  • 音声AIは単なる対話から、予約や複雑なワークフロー全体を完結させる能力へ
  • 自律的なAIエージェントの身元を検証する「KYA」のインフラが不可欠になる

Big Ideas 2026: Part 1
Big Ideas 2026: Part 2
Big Ideas 2026: Part 3

夢物語のような部分もありますが、より多くのことを長時間、自律的に実行できるAIが現実的になってきています。

AI時代はユートピア?それともディストピア?

産業革命以来の構造変化の兆し

ラッダイト運動

複数のテクノロジーの進化が同時に起こる状況は、おそらく人類史上かつてないほどの劇的な変化をもたらします。構造変化の規模は産業革命時と同等、もしくはそれ以上になるでしょう。

反AIデモがホワイトカラーから先に起きると予測する声もあります。産業革命時にも多くの職業が失われました。ラッダイト運動では、変化を止めるために機械破壊などの暴動も起きましたが、結局大きな潮流は変えられませんでした。

産業革命には当時の人たちには良いことも、悪いこともありました。変化による痛みを超えていく中で、新しいサービスやプロダクトを手にいれ、便利な生活を実感する中で、産業革命による構造変化のメリットを多くの人が感じました。

私たちは今、『ブレードランナー』のように人間を超えるポストヒューマン時代、『攻殻機動隊』のようにAIと融合したトランスヒューマンへの進化、『マトリックス』のようにヴァーチャル世界を舞う蝶のように——択一ではなく全てが同時進行で実現していく世界の入り口にいるのだと思います。

そしてそこには大きな変化が待ち受けており、良い面も悪い面も想定できますし、実際に起きることでしょう。少なくともハッピーエンドの物語ではないかもしれませんが、人間の想像力でハッピーなものを目指すことはできると思います。

人の多元的な可能性に目を向ける

藤本壮介の建築:原初・未来・森より

ソーシャルメディアでは短期的な視点で人の脆弱性を攻撃したり、ドーパミン至上主義的なコンテンツが主流になっています。AIによるアルゴリズムやロボットが埋め尽くす世界では、『マトリックス』のようなディストピアを描く人も多くいます。

しかし人間はもっと多元的で、好奇心があり、より良いものを新しく創り出す力と可能性を持っていると個人的には信じています。日本は『ドラえもん』『風の谷のナウシカ』『エヴァンゲリオン』などのアニメや漫画を通して、多様性や多元的な社会の思考実験を重ねてきました。ある意味、未来をシミュレートし、様々なバリエーションを国民全てが理解できるレベルに視覚化してきたとも言えます。

ディストピア的な世界観だけでなく、それによって見える新しい世界や価値観をポジティブに捉え、新たな世界観を描いていくこと。それが、日本がユニークな視点でAIやロボットを捉え、未来の新たな可能性を広げることにつながるのではないでしょうか。

表現することは生きること

歌人の穂村弘さんが、社会的な責任やルール、役割を果たす行為としての「生き延びる」と、言葉や感情、世界観を通じて感じ取る深さとしての「生きる」は異なるものだ、と述べていたのが印象的でした。

現代の私たちは、社会の「生き延びる」圧力によって、仕事、お金、健康といった「なければ困るもの」のためにエネルギーと時間を費やしています。しかし不安定で不確実な時代において、「生き延びる」ことにコストを費やしても、それを保証するものは社会にはありません。

身につけた社会性だけで生きてしまうと、人生は一度きりであり、交換不可能なものだということを忘れてしまいます。世に言う「コスパが良い」ことも、「生きる」という観点で命の全体像を見ると、真の意味では「コスパが悪い」可能性すらあります。

消費を受容する側であれば、「生き延びる」ことだけでも満足できるかもしれません。しかし自分自身の人生を「生きる」ためには、「生きる領域を増やす」こと、新しい価値の体感や感覚に集中することがより大切になるのかもしれません。

人にとって創ることは、生きることと同じだと思います。今までは生きる延びるために「創」っていたものから、自分がどう生きるのか、まず「決めて選択」すること、そして自分を知り、自分を表現できるようになること、そして「何を」創るかを選択し続けること、それが2026年、そして世界が激変して正解を誰も教えてくれない時代において、大切なことの一つなのではないかと思います。

よりチームが創造的に、そしてAIと共創する働き方へ

2026年はよりAIを実装するフェーズに入る予定です。クラウドット株式会社は、組織やブランドが世界観を表現し、AIネイティブでなめらかな働き方を実現し、AIが社会に接続する世界において、人間の多元的な可能性を信じ続ける世界に貢献したいと思っています。

「人間の多元性が表現できる世界へ」——そのインスピレーションとなれるように、私たち自身も、改めて表現者として「生きる」一年にしたいと思います。

どうぞ本年もよろしくお願いします。

クラウドット株式会社 代表取締役 中山拓郎

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