【2025年10・11月】数年後アプリやOSは全てAIによって実行され、全てAIが生成したコンテンツを人は消費するようになる/Nvidia、時価総額5兆ドル突破 etc…
テクノロジーやマーケティング、トレンド、カルチャーなどのニュースをMonthlyで紹介する本シリーズ。2025年10月11月に社内で話題になったTOPICをダイジェストします。
- 5〜6年で、アプリやOSは全てAIによって実行される、全てAIが生成したコンテンツを人は消費するようになる
- イーロン・マスク:OpenAI批判からTeslaの未来、Grokipediaまで — 革新的発想の全貌
- Nvidia、時価総額5兆ドル突破
- ゼロクリック時代の新GEO・AI SEO
- Vercel、AI営業エージェントでチームを10人から1人に再構築 — トップ営業の知見をデジタル化
- Open AI、AIファーストのウェブブラウザ、ChatGPT AtlasがmacOS向けにリリース
- 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクがステーブルコインの共同発行
- 内閣府が進める「人工知能基本計画」の骨子を公表
- メルカリ、スキマバイト事業メルカリハロ撤退
- AppleにおけるSteve Jobs時代とTim Cook時代の比較
- Opne AIソーシャルアプリ「Sora」をリリース
- Open AI、ChatGPTにインスタントチェックアウトを導入
- ThreadsがXをデイリーユーザー数で追い抜く
- グロース市場の維持基準引き上げ
5〜6年で、アプリやOSは全てAIによって実行される、全てAIが生成したコンテンツを人は消費するようになる
イーロン・マスクがジョー・ローガンのPodcastに出演して、AIやロボット、コンピューティングリソースについて語りました。
- 「 従来の「電話」と呼ばれるものは、将来的にはAI推論のためのエッジノードとなる」
- 「将来的には、オペレーティングシステム(OS)やアプリは存在しなくなる」
- 「ロードスター(Roadster)」と「空飛ぶ車」の可能性、プロトタイプを実演する段階に近づいている。早ければ発表は今年末」
- 「5〜6年後、あるいはそれよりも早く、人々が消費するコンテンツのほとんどはAI生成コンテンツになる」
- 「 AIとロボット工学による自動化は、「超音速の津波」(supersonic tsunami)のように加速された速度で雇用を奪うだろう」
- 「配管、電気工事、溶接、料理、農業など、物理的に原子を動かす仕事は、より長く需要が高い状態が続く」
AIがインターフェースとなり、生成されたコンテンツを人が消費する未来というのは、結構現実的な話なのではないかと感じました。
現時点でもアルゴリズムによってトレンドは作られていますし、写真はAIにより補正されており、動画エフェクトもAIが生成しています。答えのないドキュメンタリーよりも、分かりやすいショート動画の方がはるかに再生されています。アドレナリンを刺激して、自己肯定感を上げてくれるコンテンツはAIの得意領域であり、無限に生成することができます。
このように見えている未来を、個々の好き嫌いで片付けるのではなく、人類がどう集団として向き合い、答えを出していくのかはけっこう大事な話なのではないかと思いました。
イーロン・マスク:OpenAI批判からTeslaの未来、Grokipediaまで — 革新的発想の全貌
起業家界隈ではよく知られているAll-in Podcastにもイーロン・マスクが出演し、過去のTwitter買収時の話から未来について語っていました。
- 「Grockはプラットフォームに投稿された1日あたり約1億件のコンテンツを文字通り読み込むという大きな変更が進行中。この作業には、おそらく50KのH100程度のコンピューティングパワーが必要」
- 「Wikipediaは「情報がまばらで、間違っていて、古く、画像が非常に少なく、基本的に動画がない」ため、GropediaはWikipediaより100倍優れているだろう」
- 「Twitter買収の主要な動機は、「世界に真実を再び存在させる」ことであり、言論の自由を救った」
- 「Twitterはかつてシャドウバンを否定していたが、実は非常に積極的に行われていた。Twitterファイルの公開により、FBIとTwitterのとの間に広範な共謀があったことが判明した。」
- 「テスラフリートが1億台に達すれば、車両に搭載された推論コンピューターにより、100ギガワットの推論コンピューティング能力を持つことになる」
- 「今製造しているすべての車は、ロボタクシーになることが可能」
- 「太陽の力は桁外れに大きく太陽系質量の99.8%を占めるため、太陽光こそが本当に重要なエネルギー源」
著名なPodcastに立て続けに出ているイーロン・マスク。イーロン・マスクの発想が本質的であり、かつダイナミックだと感じました。特にTesla車がニューロンとして機能し、その活動していない時間(ダウンタイム)に、共通の知性を処理し、分散された巨大な神経ネットワークを形成するアイデアはすごいなと思いました。
AIにおいてコンピューティングリソースと共に課題なのはエネルギー源。テスラのミッションである「持続可能なエネルギーへ世界のシフトを加速する」という方向ともつながってきて、イーロン・マスクならやれるような気がしてしまいます。
Nvidia、時価総額5兆ドル突破
Nvidia Is Accelerating Its Investing Spree in AI Startups
NVIDIA は、前人未到の時価総額5ドルに突破し、人工知能(AI)スタートアップへの出資をこれまで以上に強化しています。これにより、自社のGPU技術やAIエコシステムの拡張を図るとともに、未来のAI市場での主導的なポジション確保を目指しています。
- NVIDIAは近年、AIスタートアップへの出資活動を大幅に増やす。
- 2024年にはAI企業の資金調達ラウンドに約49件参加し、2023年の34件から増加。
- 過去2年で80社以上のAIスタートアップに投資しており、ジェネレーティブAIや自動運転、クラウド基盤など幅広い領域が対象。
- 出資の目的として、単なる資金提供にとどまらず、自社のGPU・ソフトウェア基盤との連携やAIエコシステム構築を見据えた戦略的なものと分析されている。
- 地域別にも展開しており、たとえば英国のAIスタートアップ育成支援として、英国市場・研究機関を通じた成長支援を行っていることも報じられている。
NVIDIAの今回の投資強化は、自社技術を活かしたAI基盤の構築と、スタートアップとの協働により、今後のAI市場での競争優位を狙うものです。AIの応用領域が拡大する中で、こうした企業からの動きも市場の大きな注目点となっています。
ゼロクリック時代の新GEO・AI SEO
ゼロクリック時代の新GEO・AI SEO。AI経由の流入分析で解き明かす、要約後も人が訪れるコンテンツの条件とは?【ヴァリューズ × note共同調査】
AI検索により、サイト流入を想定したビジネスモデルの見直しが求められる中で、ブログサービスを提供するNoteが分析データから、ゼロクリック時代における、AIと人の両方に好まれるコンテンツの特徴についての記事が話題になっていました。
- 検索自体は減っていないが、**ゼロクリック率が63.5%**に到達
- 「検索エンジン流入が多いサイトほど、生成AI経由流入も多い」という正の相関関係を確認
- AIと人の両方に好まれるコンテンツの特徴
- 表面的でない経験・専門性に基づく深掘り記事
- 「見出し」「目次」などで構造化された理解しやすい文書構造 - 要約では満足できず、「要約では足りない情報」を求める傾向が強まっている
単なるインフォーメーションとしての情報だけではなく、書いている人ならではのキャラクター性や視点の深さが重要なのかなと思いました。
ロングフォームコンテンツとしてポッドキャストや長尺YouTubeが増えているのも関連していると思いますが、要約された情報の先の主観的な面白さがより求められている気がします。正しさの物差しがない時代だから、「新しい視点」や「深い解釈」を求めてコンテンツを見ているのかもしれません。
Vercel、AI営業エージェントでチームを10人から1人に再構築 — トップ営業の知見をデジタル化
Vercel trained an AI agent on its best salesperson. Then it cut the 10-person team down to 1.
VercelがいかにAIを活用した働き方にシフトしているかを取材した、ビジネスインサイダーの記事がありました。
- Vercelはインバウンド営業チームの中から最も成果を上げていた1名を6週間にわたり徹底的にシャドーイングし、業務プロセスを細かく記録。
- その知見を基にAIエージェントを設計・実装し、実際の営業フローを自動化。
- AIの主な業務は、受信メッセージの確認、スパム排除、リードの社内データベースおよびDeep Researchによる調査・選別、パーソナライズされた返信文の下書き作成、自動振り分けなど。
- 結果として、10人いたインバウンド営業チームは1人にまで削減され、残る9人はアウトバウンド営業やパートナー戦略など、より付加価値の高い仕事にシフト。
- 現在、6体のAIエージェントが稼働中で、今後6〜12か月以内に数百体へ拡大する計画が進行している。
Next JSやv0などのようにフロントエンド開発やAI開発のプラットフォームを提供するVercelは、インバウンド営業の自動化にAIエージェントを導入し、従来10名体制だったチームをわずか1名にまで縮小しました。人的なノウハウをシステム化することで、付加価値の高い仕事に人材をシフトさせている事例が参考になると感じました。
Vercelの事例は、個人のベストプラクティスを抽象化し、システムとして再現することがDX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩であることを示しています。AIを活用した業務最適化は、単なる効率化ではなく、組織の知的資産を拡張する新たな戦略へと進化しつつあります。
Open AI、AIファーストのウェブブラウザ、ChatGPT AtlasがmacOS向けにリリース

Open AI 公式「ChatGPT Atlas」
OpenAIは、2025年10月に「ChatGPT Atlas」をMacOS向けにリリースしました。今後はWindowsやモバイルへの展開も予定されています。
- AIチャット機能をブラウザそのものに統合した新しいタイプのWebブラウザ
- ブラウザでユーザーの行動を囲い込みながら、パーソナライズ可能
触った印象としてPerplexityのCometよりも、ブラウザ体験として良い印象でした。AIエージェントとしてそれなりに動いてくれる印象ですし、AIがアプリケーション間を超えてリサーチや実行をするのを見ると、AIブラウザの体験だけでも未来が加速していることを感じました。GoogleのChromeにも今までもAI統合はされていますが、よりGeminiが統合されてエージェント化、ブラウザとAIの統合が進むと感じました。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクがステーブルコインの共同発行
3メガ銀、ステーブルコインを共同発行へ…三菱商事も参画し社内決済での活用検討
JPYCのステーブルコインがリリースされる中、3メガバンクがステーブルコインの共同発行するというニュース。
- 三菱商事の資金決済から始める
- 30万社以上の主要取引先を持つ3メガが手を組み、日本でステーブルコインを普及させる
- 合弁会社「プログマ」のシステムを使う方針
- 三菱商事も加わり、社内決済での活用を検討
- 3メガバンク以外の金融機関の参画も視野に入れいてる
ブロックチェーンに対する制度設計を進めている中で、JPYCと今回の銀行系のステーブルコインのリリースはまだ限定的な取り組みです。ただ着実に進んでいるとも言えるので、引き続き注視していきたいと思います。
内閣府が進める「人工知能基本計画」の骨子を公表
日本政府は、人工知能(AI)技術の急速な進展とその社会実装がもたらす機会・リスクに対応するため、AIの研究開発および活用を統一的かつ戦略的に推進する「人工知能基本計画(AI基本計画)」の策定を目指しています。
- 日本の現状と課題:
- AI利活用が十分進んでいない
- AI関連への投資が停滞
- 生成AIや業務利用率の面で日本は他国と比して後れを取っている
- AI導入の遅れが「AIを使わないこと自体がリスク」となる可能性を指摘
⽣成AIの利活⽤状況の変化、AIへの⺠間投資額の変化を見ても、なかなかAIにおいても日本は厳しい状況です。
メルカリ、スキマバイト事業メルカリハロ撤退

メルカリ、スキマバイト事業「メルカリ ハロ」撤退 開始1年9カ月で
メルカリは、単発アルバイト仲介サービス「メルカリ ハロ」を2025年内で終了すると発表しました。サービス開始から1年9カ月で撤退となり、リクルート、タウンワークスキマに続き、メルカリハロ撤退でタイミー一強になる状況です。
タイミーが強かった理由
- 「スキマバイト市場」という市場を作り出した
- 「スキマバイトならタイミー」という第一想起を獲得した
- データ蓄積と最適化による精度向上で企業側のスイッチングコスト高めた
- 働き手であるユーザーが定着しているから、マッチングも最適化できた
スキマバイトは、「ワーカーの当日キャンセル・無断欠勤・遅刻」などのトラブルが構造的に多発しやすいはずです。タイミーはこのマッチング時の起こるギャップを、痛い思いをしながらデータにして、運営力にしてきたのだろうと思います。
いずれにしても最終的にはこの市場に対する覚悟、やり切る意志が違ったということではないかと思います。市場から創り出すスタートアップの強さを感じるニュースでした。
AppleにおけるSteve Jobs時代とTim Cook時代の比較

14 Years of Apple Leadership: Compared
Appleのスティーブ・ジョブズは伝説的なイノベーター、起業家として紹介されることが多いですが、バトンを引き継いだティム・クックについては、Appleがイノベーションから遠くなっているのではないか、と考える人もいるようです。
- Steve Jobsが製品を通じて市場に破壊的な変革をもたらした
- Tim Cookは シリコン、サプライチェーン、サステナビリティ、そしてプライバシー分野を革新し、インフラへと移行
- Appleは 2022年 に時価総額3兆ドルを超えた 史上初の企業になったのはTim Cookの手腕による
- 2030年までにTIm Cookは退任し、ハードウェア責任者のジョン・ターナス氏に指揮権を譲ると言われている
スティーブ・ジョブスの破壊的なイノベーションと比較されがちですが、ティム・クックの実績は時価総額をこれだけに引き上げてきたことを見ると明らかです。
Intel プロセッサから Apple シリコンへの移行やAir Podsなどは素晴らしいイノベーションでしたし、Vision Proも未来的で素晴らしいプロダクトです。Tim Cookを指名したSteve Jobsの人選も的確だったことも示しています。
Opne AIソーシャルアプリ「Sora」をリリース

OpenAI はソーシャルアプリ「Sora」を発表しました。
- 自分や友人の動画を生成し、TikTokのようなアルゴリズムフィードで共有可能
- Soraは iOSアプリでアクセスは招待制、まずはアメリカとカナダで初期展開
- 新しい動画生成モデルSora2により動画生成可能
招待制になっており、招待コードが必要な状態ですが、順次展開されるとのことです。ユーザーのつながりを学習しながら、AIネイティブなソーシャルアプリということで、どんな使われ方をするのか興味深いです。
Open AI、ChatGPTにインスタントチェックアウトを導入
OpenAI はChatGPTでのチャットで購入できる仕組み「Instant Checkout」を導入し、事業者(マーチャント)が ChatGPT の場で直接販売できる機能をリリースしました。
- Instant Checkout がアメリカ国内で ChatGPT Pro、Plus、および無料でログインしたユーザーに提供開始
- アメリカEtsy セラーで開始、近日中に100 万店以上の Shopify 店舗が追加予定
- エージェントコマースプロトコルをStripeと共同開発、オープンソース化
- エージェントチェックアウトを統合可能
OpenAIが圧倒的な購買ゲートウェイを握る世界線。
多くの人がショッピングアシスタントとしてChatGPTを活用している、ということで7億人という圧倒的なWAUを抱えるOpen AIは個人向けにパーソナライゼーションを強化できることの強みはすごいです。
先日発表されているChatGPT Pulseと相まって、パーソナライゼーションしたデータに購買や広告を接続することにより、今後オンラインショップはAI自身にレコメンドされたりセレクトされることが重要になっていくと思われます。
Open AIの企業価値(バリュエーション)を考えると、いち早くキャッシュポイントを作ることが求められています。この購買というタッチポイントは、Chat GPTのプラットフォーム化を強化し、エンドユーザーに対してより強力なパーソナライゼーションを加速させることにより、ユーザーとAIによる深いリレーションシップを目指した取り組みだと思われます。
ThreadsがXをデイリーユーザー数で追い抜く

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Threads Finally Passes X—Zuckerberg’s 2-Year-Old Platform Passes Musk’s In Daily Users
MetaのThreadsが、イーロン・マスク の X を、モバイル上の日次アクティブユーザー数を上回りました。
- Similarweb のデータによると、9 月 15 日-9 月 21 日のThreads は平均日次アクティブ ユーザー数で X をわずかに上回り、1 億 3,020 万人のユーザー数で X の 1 億 3,010 万人を上回った
- Similarwebのデータによると、ユーザーはXに費やす時間がThreadsよりも長い。8月時点で、世界中のAndroidデバイスにおけるXの平均滞在時間は4分4秒で、Threadsの平均滞在時間(2分14分)のほぼ2倍
- Threadsの広告は「収益化の可能性」が高い可能性。一人当たりの広告支出が最も高いアメリカや日本で人気がある、2026年には推定20億ドル、2027年には90億ドルの広告収入を生み出す可能性がある
Threadsが伸びているのを見ると、改めてMetaはソーシャルメディアを伸ばすのが上手だということがわかります。
グロース市場の維持基準引き上げ
東証が「グロース市場」維持基準引き上げへ 時価総額“今の倍以上”など より厳格な運用に
東京証券取引所は「グロース市場」での上場維持の基準を引き上げる方針を明らかにしました。
- 現行の「上場10年経過後に企業の時価総額を40億円以上とする」ものから、「上場5年経過後に時価総額を100億円以上とする」ものに引きあげ
- 新基準は早ければ2030年3月末から適用される見込み
- 基準に満たない企業は今後の経営戦略などを示す必要があるほか、改善・猶予期間を経て基準に満たない場合は上場廃止となるなどより厳格な運用となります。
※本記事では一部でClaude、ChatGPT、Midjourney、DALL-E3などの生成AIを活用して作成しています。